「理工系の修士です。
研究室での研究内容に関連することを就職先でもやりたい。
けれども、それをやらせてもらえそうな企業は、知名度、規模、事業内容とも、世間的にはいまいち。
やりたいことをやらせてくれる会社を選ぶか、
何をやらされるかわからないが、
誰もが知っている大企業を選ぶか、
どんなもんでっしゃろ?」
ってな感じの相談内容です。
私は、以下のようにアドバイスしました。
1.その研究テーマは、本当にあなたのやりたいことですか。
(たまたま、それをやっているだけなのではありませんか…?)
2.それ以外にも興味を持っているテーマ、分野はないのですか。
3.そのテーマをやらせてくれるかどうかわからないが、
ブランドとして気に入っている企業は他にあるのですか。
また、そのブランドを、なぜ気に入っているのですか。
理工系の修士で、
研究職・開発職を希望する人を、
製造関連はよくあることですが、営業に回したりすることは、
あまりないことではあります。
しかし、技術営業などというわかりづらい部門もありますから、
これは一概に言えることではありません。
こうした現状をふまえたうえで、
この相談してくれた人に、私が言いたいのは、
ひとつの研究テーマだけ追い続けられる人なんて、そうは、いませんよ…ということです。
そもそも、大学でその研究室を選んだのは、
偶然かもしれませんし、
希望したところが駄目だったから、たまたまその研究室になっただけの話かもしれません。
そして、その研究室のテーマ、
やってみたら面白かった...と。
企業に入ってみても、
同じようなことがあるかもしれません。
大学院時代にやってきた、
これまでの研究テーマと異なる分野を
企業で担当することになっても、
やってみたら面白いということは、大いにあり得ることですし、
私自身、そういう話を実際に多くの人から聞いています。
このことについては、
大学の先生方と、何度も話題にしましたが、
先生方もだいたいは、以下のようなご意見です。
「大学、特に院で学ぶ学生には、
研究を通して、研究の方法を学んでもらいたいのだ」と。
要は、テーマも大事なのでしょうが、
テーマを究めるプロセスが大切なんだよ…
ということです。
おわかりでしょうか。
たとえ、院生時代のテーマに関連するテーマを
やらせてくれるっていうだけで、その企業を選んでも、
その企業がそのテーマをいつまでもやらせてくれるということは、
誰にもわかりませんね。
その会社の社長ですら、断言はできないでしょう。
それよりも、ブランド(会社)に愛着があれば、
自分の希望と違うことがテーマになっても、迷うことなく仕事を続けることができるでしょう。